ピアニカ兼トラックメイカーを担当する池永正二を中心としたユニット、あらかじめ決められた恋人たちへ(以下、あら恋)がバンド編成としては初のアルバム『CALLING』を完成させた。本稿では収録曲“Back”のPV監督であり、『おそいひと』や『堀川中立売』などの話題作でメガホンを持つ鬼才、柴田剛と池永の対談を敢行。
大学時代の同級生でもある2人による竹馬の友感溢れるやり取りをご覧いただこう。

まず、お2人の馴れ初めから伺っていこうと思います。
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池永正二(以下、池永)「95年くらいかな。学校が一緒だったんですよ。大阪芸術大学の映像学科で。」 柴田剛(以下、柴田)「俺は神奈川から関西に進学して、学校ではじめて出来た友人が正二なんです。で出会ってすぐバンドを組んだりもしてて」 |
どんなバンドだったんですか?
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柴田「ジャンク/スカム系のバンドでしたね」 池永「懐かしいね。恥ずかしいな、なんか(笑)。結局、鳴かず飛ばずだったですけど」 柴田「そもそも鳴こうともしてないっていうな(笑)」 池永「飛ぼうともしてない(笑)」 柴田「いろんなとこによじ登ったり、モノを壊したりしてましたねぇ」 池永「普通の生活でしてたら怒られるようなことも、バンドでやったら盛り上がったりするじゃないですか。それが面白かったんでしょうね」 柴田「まぁ、周囲が過保護だったおかげだよね」 |
お互いの第一印象はいかがでした?
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柴田「当時ね、関西ローカルで深夜に『精神解放ノ為ノ音楽』っていう、大阪の音楽シーンをまとめた番組があったんですよ。俺がまだ関東にいたときに放映して、関西へ進学したらだれかに見せてもらおうと思ってて」 池永「それを俺が持ってたんや」 柴田「そうそう。で、その番組に京都精華大学でボアダムスがライブやっている映像があって。そこでダイブしてるヤツを指差して"コレ、俺やねん"って正二が言ってたのはすごく印象に残ってる。それで"コイツ、できるヤツかもしれん"って(笑)」 池永「何判断やねん(笑)」 |
当時、お2人の共通の話題は?
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柴田「映画と音楽ですね。もうそればっかり。ダイナソー・Jrとかトゥルーマンズ・ウォーター、映画だったらレオナ・カラックスが共通して好きだったのかな? 地元じゃ俺しか知らなかったようなものを正二もチェックしてて」 池永「宅録もしたなぁ、MTR使って。何年前の話や(笑)」 |
池永さんが音楽をやっていこうって決意したのはいつ頃ですか?
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池永「まぁ、映像学科やのに映像撮らんとずっと音楽ばっかりでしたからね。映画が撮れたらいいなぁと思って学校入りましたけど、映画のことはあんまりやってないなぁ、結局」 柴田「1度、正二の撮った映像見せてもらったことありますけど」 池永「うわうわうわ! 言わんといて、恥ずかしいから(笑)」 |
暴露大会みたいになってますね(笑)。
| 柴田「でもあの頃はそういう恥ずかしいことばっかりですよ、ほんと」 |
柴田さんが映画に向かっていったのも学生時代ですか?
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柴田「そうですね。周りもガンガン映画を撮っていたんで。やっぱり映画やりたかったんですよ、俺は。だから自然な流れですね。その間も正二はずっと音楽やってましたけど。あぁ、ケンカみたいなのもあったな、ファミレスで」 池永「うわぁ、あったなぁ」 柴田「音楽性の不一致でな(笑)。熱かったですねぇ……。でもその1件から俺は映画に向かっていったという」 |
その後、池永さんはあら恋として活動、柴田さんは映画監督としてのスタートを切るわけですが、お互いの活動をどう見てましたか?
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柴田「偶然ね、これを今朝見つけたんですよ。あら恋の初期作品。『のような音』ってアルバムなんですけど。これって森田芳光監督の『の・ようなもの』からでしょ。やっぱり映画に縁があるんだなぁ。で、なかには正二の嫁さんからの写真が入ってるという」 池永「ハハハ! これ、俺があげたんだっけ? 写真は嫁から剛に向けてメッセージ入りではいってるね。」 柴田「そうそう。熱いなぁー(笑)。話を戻すと、正二のこれまでの作品は全部聴いてますね。彼は自分のやりたいことやってますよね。悩みながら作ってるのを隣で見ていたりもするから、すごく分かるんですよ。境界線を越えようとする姿勢にも共鳴する部分があるし。バンドやってた頃から隠れてオーガスタス・パブロ聴いてたりしてたのも知ってたから、いまこういう形で正二が鍵盤ハーモニカ持ってる姿は感慨深いですけどね。3年前くらいに山中湖でやった野外フェスで久々にライブを観たんですけど、あの正二がドッカンドッカン盛り上げてるわけですよ。もちろん知り合い顔しましたよ(笑)」 |
ハハハ! 池永さんは柴田さんの監督作品を見ていかがでしたか?
| 池永「彼はバンド時代から変わんないですよ。作品を観ても昔からやってることは一緒ですよね。ややこしいことやってるなぁって(笑)。弾けないもん弾いてるなぁっていうか。でも、そっちのほうが面白かったりしますからね。彼はバンド時代から楽器弾けなくても弾いちゃいますから。それでいびつだけど面白いもんを作っちゃう。それが映画からも感じられるんでね、好きですよ」 |
今回はアルバム収録曲の"Back"のPVを柴田さんが監督されてますね。
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池永「経緯が思い出せないくらい、自然な流れでお願いしたんですけどね」 柴田「そうだね、そこらへんは俺も覚えてない(笑)。で、まずタイトルとバンド名から図を想像するんですけど、そもそもバンド名が"あらかじめ決められた恋人たちへ"っていう印象に残る名前じゃないですか。だからそこを全面に出した映像にしようと。あとは正二とバンドをやってた頃のジャンク感……ライブハウスの梁に登ったり、PA卓を踏み台にしてダイブしたり……を入れるってことですね。そういえば"Back"の由来を正二に聞いたんですよ。そしたらコイツ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』からだって言ってて。じゃあ、走ってる車が炎の轍を残して消える映像も撮らなきゃいけないのかって思ってました(笑)」 池永「まんまやん(笑)」 |
撮影場所は京都ですよね?
| 柴田「そうですね。京都に映画を撮るときの拠点を持っていて、そのあたりを散歩していたんですけど、昔ながらの長屋が多くて、時期的に桜の咲く前だったから、絵になるんじゃないかなと思って。卒業や入学みたいな節目のイメージもあったので、満開の桜はピッタリだったんですね」 |
PVでは楽曲のいちばんエモーショナルな瞬間にタイトルバックが表れますよね。あのアイデアは?
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池永「あのアイデアは俺からですね」 柴田「俺はオープニングから断片的にバンド名とタイトルが出てくるほうがいいって言ったんですけど、コイツが"それじゃ売れないから"って言って、あの形になりました。で、入れてみたら意外とよかったので"ベタだ!"とか"そんなの思い付いてた!"とか負け惜しみは言ってやりましたけどね(笑)」 池永「曲のピークにちょうどあの桜がきたので、タイトルはもうここしかないと。そこから題字書いて2人でコンビニにスキャンしに行きました。」 |
あら恋の音楽は非常に映像的ですよね。それはどんなところに起因するんでしょうかね。
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池永「やっぱり映画が好きですからね。映画のサントラというよりも、映画を作っているような気分なんでしょうね」 柴田「しかも短編というより長編映画だよね。だからアルバムにもその曲数分の長編映画が入ってるという感じ」 |
本作『CALLING』は初のバンド編成での作品ですよね。当初、アルバムの青写真はどんなものでしたか?
| 池永「当初はもっとライブ感の強い、エモーショナルというよりジャンク感の強いものが出来上がると思ってたんですけどね。完成したものを聴いたら当初のイメージとは違うものになっていて面白かったですね。タイトルの"CALLING"って、"呼ぶ"とか"叫ぶ"とか以外に"召喚"って意味もあるみたいで。自分はどうやら憑依体質みたいなんです。これまで見てきた景色や想いが脳内ハードディスクに蓄積されていて、そこから作業する時に音楽に流し込んでいくんですけど、それは自分の意思というより憑依されてる感覚なんじゃないかと。あと、ダブのディレイやエコーって山びこに近いと思うんですよ。その 意味でいったら山びこも"CALLING"やし、面白いなっていう」 |
柴田さんは本作を聴いてみていかがでしたか?
| 柴田「これまでのアルバムって鍵盤ハーモニカが前に出た楽曲が多かったと思うんですけど、今回はもっとバンドの演奏がフィーチャーされてて、ギターの音圧ひとつ取っても触発されるというか。単純に、このアルバムの楽曲を丸々使った映画を作ってみたいって思ったっすね。しかも台詞のない、身体表現のみで表現した映画。実際にいま準備をしてるんですけど。通常の映画ではなかなか出来ない表現や、見落としがちだった技法を全面に出た作品にしたいんですけどね」 |
おぉ、それは楽しみですねぇ。最後にお互いの今後の作品に望むことを訊いてインタビューを締めたいと思うんですが。
| 柴田「とにかくマイペースに続けていってほしいですよね。ここにきてやっと池永正二の内包してたものが形になってきたわけだから。変わらないでいてほしいし……ってなんか祝辞みたいになっちゃったじゃないか(笑)」 池永「俺も長く続けていってもらいたいけど、映画って大変でしょ? そのスタンスで続けていくの。それでもスタイルは貫き通してもらいたいし、なにより次の作品が楽しみですよ、ホント」 |

『CALLING』 収録曲
1.Back
2.ラセン
3.Nothing
4.ワカル
5.Shadow
6.Fire Glove
7.Out
8.Start
9.not
10.Calling
ライブ・シーンを席巻しているインストゥルメンタル・ダブ・ユニット "あらかじめ決められた恋人たちへ" 通称"あら恋"が、バンド編成では初となる スタジオフルアルバム『CALLING』。鍵盤ハーモニカで奏でる叙情的なメロディと、快楽をもたらす怒涛のダンス・グル―ヴが融合したあらかじめ 決められた恋人たちへ、4枚目のオリジナルフルアルバム完成! 鍵盤ハーモニカ、テルミン、ドラム、ベース、ダブミックスという特殊な編成から生み出されるのは、シアトリカルなダンス・サウンド。圧倒的な熱量 で駆け抜ける全10曲は、プリミティブな感情を呼び覚ます。
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- NEW ALBUM『CALLING』発売記念"あら恋" ワンマンLIVE開催決定!
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日程:2011.7.9 (土)
場所:東京/shibuya WWW
時間:18:30開場 - MaNHATTAN&あら恋ダブルレコ発PARTY
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日程: 2011.7.1(金)
場所: 名古屋CLUB UPSET
時間: 18:30開場
- FUJI ROCK FESTIVAL ’11
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日程: 2011.7.23(金)~31(日)
場所: 新潟県湯沢町苗場スキー場
詳細はこちら>> - RISING SUN ROCK FESTIVAL 2011 in EZO
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日程:2011.8.13(土)
場所:石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ - KAIKOO POPWAVE FESTIVAL 2011&2012
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日程: 2011.11.26(土)
場所: 東京都 渋谷 8会場同時開催
時間: 13:00開場 詳細はこちらから>>
- 『堀川中立売』上映スケジュール
- http://www.horikawanakatachiuri.jp/blog/2011/04/『堀川中立売』公開劇場リスト.html
- 『ギ・あいうえおス -ずばぬけたかえうた-』上映スケジュール
- http://gui-aiueos.com/
- 【新潟の劇場】新 潟・市民映画館 シネ・ウインド
『堀川中立売』2週間ロードショー -
2011年7月9日~7月22日
*7月10日のみイベントのため別スケジュール
http://www.horikawanakatachiuri.jp/blog/2011/06/『堀川中立売』新潟公開の焦点!.html
【イベント】
7月10日(日)
17:00『堀川中立売』上映
ゲストトーク 柴田剛監督、堀田直蔵(出演・安倍さん役)
20:00 『ギ・あいうえおス -ずばぬけたかえうた-』上映
http://gui-aiueos.com/ - 【富山の劇場】フォ ルツァ総曲輪・ライブホール
『堀川中立売』9日間ロードショー -
連日 7月9日~7月17日
期間中、『おそいひと』『堀川中立売』上映。
http://www.horikawanakatachiuri.jp/blog/2011/06/『堀川中立売』富山公開の全貌!.html
【舞台挨拶】
7月9日(土)
15:30『おそいひと』
17:20『堀川中立売』上映に、柴田剛監督、堀田直蔵(出演・安倍さん役)、野口雄介(出演・寺 田役)舞台挨拶
【関連イベント】
7月8日(金)19:30~
柴田剛監督最新作『ギ・あいうえおス -ずばぬけたかえうた-』高岡御旅屋通り上映会
会場: ダ・フレンズ(高岡市御旅屋通)
★上映後、柴田剛監督の談話アリ
http://gui-aiueos.com/ - 【群馬の劇場】シネマテークたかさき
『堀川中立売』1週間ロードショー -
2011年7月23日~7月29日
【トークイベント】
7月23日(土)15:20の回上映後
村上賢司(『観音菩薩・母光』監督)×柴田剛監督 - 【群馬の劇場】シネマテークたかさき
『堀川中立売』1週間ロードショー -
2011年7月23日~7月29日
【トークイベント】
7月23日(土)15:20の回上映後
村上賢司(『観音菩薩・母光』監督)×柴田剛監督 - 【横浜の劇場】シ ネマ・ジャック&ベティ
『堀川中立売』1週間ロードショー -
7月30日~8月5日
http://www.horikawanakatachiuri.jp/blog/2011/06/横浜公開の趣向!.html
【トークイベント1】
7月 30日(土)15:20の回上映後
向井康介(『マイ・バック・ページ』脚本)×山本剛史(『マイ・バック・ページ』、『堀川中立売』出演)×柴田剛監督
【トークイベント2】
8月 1日(月・映画の日)15:20の回上映後
石井裕也さん(『あぜ道のダンディ』監督)×とんとろとん(『堀川中立売』出演)×柴田剛監督


















