DJ BAKUをはじめ国内の気鋭アーティストを集める音楽レーベル、POPGROUP。彼らが主導する音楽フェス『KAIKOO POPWAVE FESTIVAL』はフェス隆盛の昨今にありながら、カッティングエッジなアーティストと音楽以外のアートの混交に重きを置き、現在では10000人を超える集客を誇る人気フェスティバルとなった。今年11月に渋谷のライブハウス、クラブなど10店舗で同時開催の都市型フェス『KAIKOO POPWAVE FESTIVAL '11』を控え、musicpoolではPOPGROUP代表の坂井田裕紀氏と、同フェスにも参加が決まっているPOPGROUP所属アーティストDJ BAKUの対談を執り行った。『KAIKOO』のこれまでの歩み、一時は震災の影響で開催が危ぶまれた『KAIKOO POPWAVE FESTIVAL '11』、そして今後の展望……2人が『KAIKOO』を通して掲げる理念とは。(文/高橋圭太)
まず2人が出会ったきっかけについて伺いましょう。
| DJ BAKU(以下、BAKU) |
いちばん最初に会ったのはフランスでぼくがDJしたときじゃなかったかな。2001年か2002年ごろ。ヒロキくんは当時BOOM BOOM SATELLITESのマネージャーとしてロンドンにいて、フランスで日本人がDJしてるからってことで遊びに来たんだよね
|
| 坂井田裕紀(以下、坂井田) |
そうだったね。当時の自分は東京のカルチャーをまったく知らなかったし、興味もなかった。でもパリでBAKUのDJを見て"おおっ!"となって
|
| BAKU |
パリでDJしたあとに、フランス郊外のルーアンって街でのイベントに呼ばれたんだけど、当時のぼくの機材セットがかなり大荷物で。DJミキサーも2台使ってたし、当時はレコードだったし……。それで誰か手伝ってくれないかなと思ってたときにヒロキくんが手を挙げてくれたんだよね。でも関係が密になるのはもう少しあとで、ヒロキくんが帰国してからの話。そのころのぼくは自分のアルバムを作る前に、DJとしての自分がなにをやっているかわかりやすく提示できる作品を発表したいなと思っていて。そこで『KAIKOO/邂逅』(05年に発表されたDJ BAKUのドキュメンタリーDVD)のアイディアをまとめてくれたのがヒロキくんだったんですよ
|
| 坂井田 |
フランスで見たBAKUや周辺のアーティストはぼくにとってすごくオリジナルで、すごく新鮮でこれぞ東京のシーンだなって感じたんです。だから日本に帰ってきたときに、BAKUが"映像を撮り貯めてる"という話を聞いたときにひとつの映像作品にまとめたいって思った。当時のぼくはロック、パンク畑の人間でターンテーブリズムに関しては門外漢だったけど、BAKUにはパンク的な意識を感じていたんです。それは『KAIKOO/邂逅』に映っているほかのアーティストにも感じることですね
|
では映像作品としての『KAIKOO/邂逅』が『KAIKOO』というイベントに向かっていった経緯は?
| 坂井田 |
DVDの発売から2年半くらいかな。そもそも"KAIKOO"という言葉はBAKUの指針というか、座右の銘みたいなものなんだけど、その大きな意味でのつながりってぼくはそのまま"東京"って言い換えられるような気もしてて。ぼくは名古屋生まれだし、海外にいたりもしたから、より客観的に"東京"ってものを見てるのかもしれない。単純にそういった"東京"のシーンで渦巻いてる熱気みたいなものをイベントにしたら面白いかもって思っただけですよ、最初は。そこにいやらしい打算とか計算はなかったし
|
| BAKU |
タイミングもよかったよね。あのころはぼくらと同世代のラッパーやDJ、グラフティ・ライターがどんどん出てきたタイミングでもあって。それこそ漢(新宿をベースにして活動するヒップホップ・クルー、MSCのラッパー)くんが『B-BOY PARK』主催のMCバトルで優勝したりして、世代交代の兆しも感じてたし
|
では『KAIKOO』が軌道に乗ったポイントはいつごろだったと思いますか?
| 坂井田 |
うーん……正直なところ、去年くらいだと思いますね。それまではやっぱり大変で、いまでも決してスムーズとは言い難いんだけど。まだまだです!
|
| BAKU |
でも去年の『KAIKOO』はホントにすごかったよね。ロケーションもバッチリだったし、そもそもチケットが完売するなんて思ってなかったから
|
| 坂井田 |
出演してくれたアーティストのみんなもいいライブたくさんしてくれたと思いますよ。BOSS(BOSS THE MC)くんとクラムボンが"あかり from HERE"をやってくれるっていうサプライズもあったし、そういうアーティスト同士のコラボレーションがどんどん生まれてくるイベントというのは今後も目指すところだなって。そうやってアーティストとお客さんが一緒に楽しむフェスにしたいです。
|
ちなみにビジネスとしての音楽イベントとして『KAIKOO』は……。
| 坂井田 |
まだまだでしょうね。ぼくとしては『KAIKOO』をもっと影響力のあるイベントにしたい。しかもいまの考え方、スタンスを変えずにね。そのためには数字がすごく必要で。1日10000~15000人の集客で2日間、それを10年続けられれば日本にもそういったカルチャーが根付くんじゃないかなって思ってます。
|
今回の『KAIKOO POPWAVE FESTIVAL '11』は渋谷10会場で同時開催という新しい形を執られてますが、経緯は?
| 坂井田 |
本当は春~初夏くらいに向けて開催する予定だったんですけど、震災の影響で延期しなくてはならなくって。その時点で今年中になんとか開催するか、来年の4月まで待つか、っていうチョイスがあったんだけど、やっぱり途切らせずに続けるほうがいいんじゃないかって思っていたら、偶然にも11月19日がO-GROUP(O-EAST、O-WEST、O-Crest、O-nest)全館スケジュールが空いてるって報告があって。はじめは開催にネガティブだったんだけど、最終的に続けることの意義とか大切さが自分のなかで勝ったんでしょうね。それで11月にやりましょうってことになったんです。でも結果的によかったと思いますね。これはこれで理想的というか。これだけ大小さまざまなステージがあれば、無名でもいいアーティストを呼べるし、若いアーティストにもチャンスをあげる事ができる。
|
| BAKU |
たしかに。あとはこれまで『KAIKOO』に馴染みのなかったアーティストも出演してくれるみたいで。それこそ星野源さんとか。ぼく、普通に前から好きだったから嬉しかったな。あとはORGE YOU ASSHOLEとかもPVとか見ていいなぁと思ってたし
|
そして来年の4月には『KAIKOO POPWAVE FESTIVAL '12』が控えています。こちらのプランは?
| 坂井田 |
進んでますね。来年の4月は野外なんですけど、かなりいいロケーションを確保したので面白い形になるんじゃないかと。まだ発表できないんですけどね。でも音楽以外のコンテンツも豊富にしていきたいと思ってます。それでどんどん10代の若い子たちが感化されていけばいいですね。やっぱり10代のころってスポンジみたくなんでも吸収できるじゃないですか。『KAIKOO』を通して、そういった若い子たちがいろいろ感じられる場所を作ってあげられればいい。それは集客とかお金の面よりもずっと大事というか。ぶっちゃけた話、お金があれば規模の大きいフェスは誰でもやれる。でも、それやってもしょうがないし、自分でやってても辛いですよ。やはり自分のやりたいことは音楽を含めたアートを通して、すこしでも社会がよくなれば、そして音楽/アートが日本にもっともっと根付いていくことが大切だと思うんですよ。大袈裟かもしれないけど
|